酔う子のユーラシア大陸お散歩ログ

ソムリエで料理研究家の酔う子が自由気ままに世界で飲み歩く様子をお届け

タグ:醸造

この日は朝からジン工場見学なのは決まっていたのですが、ほんならそのあと何しよう?って探してみたら見つけたのが、この地下鉄圏内のビール工場見学。
ホームページから予約し、20ポンドで見学できます。
こちらFullers Griffinのメインとなるブランド、ロンドンプライドは、お世話になっている東京江古田のBar KEITH様でも飲むことができます。
Bar KEITH
東京都練馬区栄町4−3 YKビル

こちらはロンドン、地下鉄のスタンフォードブルック駅から徒歩約10分、醸造所が見えてきました。
IMG_7083

受付を済ませ、まず案内されるのは以前ホップ貯蔵庫になっていた博物館。
こちらで色々説明を伺い、満を持しての工場入りです。

まずは麦汁をあっためる装置。
これは昔使われていたものです。
見学させてもらえるのは、主に今使われているものより以前のものが多いかもしれません。
IMG_7089

次にホップの説明。
ロンドンプライドには数種類のホップが配合されているとのことでした。
ホップの香りは産地ではなく品種で違ってくる、とのことで大変興味深い。
昔はロンドン周辺でもホップが生産されており、写真右下のホップ摘みみたいなのは秋の名物だったそうです。
IMG_7094

こちらはニュージーランド産のホップのサンプル。
ニュージーランドで作られるスッキリしたソーヴィニヨンブランの香りを目指したそうです。
IMG_7095

こちらは現在稼働している発酵タンク。
IMG_7098

昔使われていた発酵槽はこちらの写真のようなものでしたが、ネズミが縁を走ってはアルコールにやられてネズミが落ちてひっくり返ってる、、という悪夢が繰り返されたこともあり、現在は完全に密閉されています。
IMG_7099

さて、ここまでの見学で約1時間半、たっぷりビールのことを教えてもらえます。

そしてお待ちかねのやつ。
ここはね、なんと飲み放題なんですよ。
3時からのコースがその日の最終らしくてね、その後もうないからね、永遠に飲み放題です!
もう、前に並んでるタップのみならず後ろのところまでびっちりですよ!
IMG_7102

この工場で生産するのは、カスクといわれるワイン樽のような形の樽ビールと、我々日本人がよく知る形の生ビールの樽ビール、あとは瓶です。
この樽ビール二つの違いが重要で、味わいも違ってきます。
まずカスク樽ビールの方は、発酵途中のビールを酵母のオリとともに樽詰めするので、炭酸は酵母の炭酸100パーセント、樽の中でも発酵を続けます。
生ビールの方は、ろ過して二酸化炭素を混ぜるため、強めの泡と冷たい温度で楽しむことが可能になります。
両方飲み比べてみましたが、私はカスクの濃い味わいのビールがとても好きです。
IMG_7101

こちらにはオーガニックのビールもありました。
臭みの残る独特な味わいで、個人的にはもっとキンキンに冷やして飲みたい一本でした。
ワインだと、どのようにぶどうが作られているかまで気にして選ぶのに、ビールにしろジンにしろ、麦へのこだわりをほとんど聞かないため、私はとても不満です。
特に農薬などは蒸留酒だと溶け出してしまいそうなので、恐ろしく感じます。
見学担当の人もそんなこと聞かれても困るだろうと質問しなかったけど、フランスであそこまでぶどう畑を見てしまった以上ビールや蒸留酒に関しても、原料へのこだわりを是非聞いてみたい気持ちです。


ワインが発酵している最中に行うルモンタージュという作業について書きます。
ソムリエ教本では、ルモンタージュは下の方のワインを上に移す、程度の記載のみで、実際の作業については気にもとめていませんでした。
シャトープレヴェールにて作業させていただく中で実際やってみたので、それについて書きます。

ルモンタージュにも色々種類がありますが、今回は酸素を入れないルモンタージュです。
ホース2本とポンプ一台を用意し、タンクの下の蛇口と上の口をこんな風に繋ぎます。
繋ぐ前にはこのでっかいホース自体も清潔にするために、外側も中側も洗ったり消毒したりします。
IMG_6789

上には人が登ってホースを支えます。
中にワインが入るとホースはめちゃくちゃ重くなります。
IMG_6787

ポンプを作動させて約2分程度、ワインを回転させます。
そうすることで下に溜まってた酵母が全体に行き渡り、発酵が活性化したりします。
この後ワインを無駄にしないようにホースを抜いたり、ホースを水で洗ったりするわけですが、それもまた簡単ではない作業です。
こんな風に、ソムリエ教本では数行で説明される作業も、実際にやると決して楽ではありません。

ルモンタージュにも種類があり、ワインに酸素を入れたい場合は、タンクからのホースを一度タライ(的な大きな容器)に移します。
そうして空気に触れさせたワインをポンプで吸って、またタンクの中に戻します。
どういう場合にどちらのルモンタージュをするかは発酵の進み具合と醸造家さんのテイスティング結果次第です。

最後にソムリエ試験の復習と自分の確認のため、ルモンタージュの効果を書いておきます。(頻出)
1.果醪液への酸素供給
2.タンク内の糖分、酵母、温度の平均化
3.果皮や種子からのフェノール類などの成分抽出

近隣のぶどう畑も収穫の季節を迎え、収穫機が右往左往しています。
そのせいで一部ネットの線が切られたりして、ネットの接続がうまくいかなくなっており、更新が滞っております。
ご当地あるあるすぎて、日本にいたら想像もつきません。

先日摘み取ったぶどうさんは、タンクの中でもりもり発酵していました。
その発酵しかけのぶどうさんたちを絞り、果汁だけでの発酵と熟成を続けます。
これはこの前2日くらい連続で怒涛の圧搾をやったので、圧搾作業が実際どんなものかという

タンクから出したぶどうさんたちを今度は圧搾機に入れます。
こんな感じで人海戦術、水玉のもたもたしてるのが私。

ぶどうさん入った。
ここで蓋を閉めて圧搾スイッチを入れます。
IMG_6569

スイッチを入れてゆっくり果汁を絞ります。
私の圧搾のイメージって、シャンパーニュでは1回の圧搾で2000リットル云々みたいなソムリエ教本の記載があったので、もっとザッパーンみたいな感じでした。
しかし実際は余計な雑味的なものを絞り出さないようにゆっくりじっくり圧搾します。
だから出てくる果汁もこの動画で分かる通り、ほんとポトポトポト…みたいな感じです。
通常の量産ワイナリーだとこの工程でワインの保存料の亜硫酸を入れたりするんですが、こちらのワイナリーはナチュラルワインなので、亜硫酸は入れません。

そうして絞った果汁はこちら!
すでに少し発酵してはいるものの、まだしっかり甘さも残っています。
日に日に甘さがなくなり、アルコールが増えていくのが舌で感じられます。
しかし香しさは常に健在、来年の完成が大変待ち遠しいです。
IMG_6570

圧搾作業は忙しく、機材の洗い物も溜まるし、人もいるからもりもり料理も必要だしでなかなか大変です。
そんな私のファイト一発用に頂いたのが、この圧搾前のぶどうさん!
発酵しかけてるので、ちょっとしゅわしゅわして最高においしいです!
IMG_6590

このページのトップヘ