酔う子のユーラシア大陸お散歩ログ

ソムリエで料理研究家の酔う子が自由気ままに世界で飲み歩く様子をお届け

タグ:南西地方


フランスのワイナリーにステイさせていただいていた際、ナチュールで貴腐ワインをつくるChateau Le PayralにてAOCソシニャックの収穫をする機会に恵まれました。


その際頂いたChateau Le Payralの甘口貴腐ワインAOCソシニャックの2006年を飲みました。
同時に飲んだのが2015年のAOCソシニャックの別のシャトーのもの。
日本で探すのも難しい2本を飲み比べることができました。IMG_4430

2015年のソシニャックはこってり甘口の、蜂蜜のフレーバーに高い酸味といった、教科書通りの大変においしいデザートワインでした。
Chateau Le Payralのワインは、伺った際に味見させていただいた印象と全く同じ、甘いながらもさっぱりとしていて、喉に粘りつく感じがない、大変飲みやすく気づいたら飲みすぎてしまうような感じでした。
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Chateau Le Payralに伺った際オーナーのチエリさんから、このワインは意図的にさっぱりした後味になるよう作っていると伺いました。
収穫後に撒く緑肥のみならず、ナチュールならではの工夫もたくさんした上でこのような味になるとのことでした。
まだ残ってるので、次は定番のフォアグラと合わせて飲んでみようと思います!

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昨年フランスの南西地方のワイナリー、Pre Vertで1ヶ月くらいお世話になり、ワインの収穫から醸造までお手伝いさせていただきました。
その時のワイン(白)がこの度日本に輸入され、東京を主とするワインショップで売られております!
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セミヨン70%にソービニヨンブランを30%のブレンドで、セミヨンの酸味がとってもさわやかでいい感じになっています。
輸入元のKeppagle様のところはもう売り切れだそうで、店頭で見つけたらラッキー、ぜひご購入ください!

私は箱で購入し、寺田倉庫に入れて、これから何年か楽しむ予定です。

滞在中のワイナリーChateau Pre Vertに時々いらっしゃっていたのは、近くのワイナリーChateau Lestignacのマチアスさん。
ナチュラルワインの生産者として世界的に有名な方です。
そんなChateau Lestignacをマチアスさんと奥様のカミーユさんに案内していただき、現在発酵中の果汁を飲ませてもらったり熟成中のワインを頂いてきました。
(通常見学は受け付けていないと思います)

まずはソーヴィニヨンブラン。
主発酵とマロラクティック発酵を同時に行うことで、超爽やかなソーヴィニヨンブランの香りがガツンとくる果汁になっています。
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これはセミヨン。
頂いたセミヨン2種類は、収穫時期や発酵方法の違いによって全くもって別物の味になっていました。
1つは超さっぱりな、レモン果汁のような爽やかなもの。
もう一つは、まろやかさをほのかに残した丸い感じの果汁でした。
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樽からいただいたのは、まずソーヴィニヨングリ。
果汁どころかワインすら飲んだことがない品種です。
百合とか蘭とか、白くて大きい花をイメージさせるような香りがしていました。
次は色々な品種をミックスしたもの。
シュナンとか、その他3つほどのきいたこともないような、昔この辺りで栽培されていた品種などが混ぜ合わされた逸品。
超香り高いシャルドネのようなイメージになっており、大変興味深いものでした。
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こちらは発酵が終わってあと一年寝かせるもの。
Lestignacのコメットというブランドの白ワインになる予定のものです。
樽の白を全て混ぜ合わせたものだとおっしゃっていました。
驚くほど余韻が長く、ずっと鼻の奥に蘭の花がありながらも、いろんな香りが押し寄せてくる感じでした。
どんな言葉を使えばこのワインの凄さが伝えられるのか適当なものが見つからないのがもどかしいです。
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この大樽の中のはメルロー。
大樽は新しいので、これからタンニンがもう少しついていきます。
既に少しシパシパしており、今後も強めのワインになっていきそうです。
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こちらのメルローはただいま発酵中、もう少ししたらテラコッタ製のアンフォラ壺に移すそうです。
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このアンフォラは今年買ったもので、以前のものより焼きがしっかりしているため密閉性が高く、コンクリートタンクに近い、と言われたとのこと。
どのくらい寝かせるかも決めていないそうで、どんなワインになるのかとっても楽しみです!
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この1か月ナチュラルワインについてみっちり習い、ドサージュや亜硫酸などで発酵をコントロールしないワインの凄さを目の当たりにしました。
まず1番違うのは翌日の気分の良さ。
次の日全然残らないので飲まなかった日と全く変わりません。
緑肥や剪定、その他手入れなどぶどうの木にかける手間も通常以上ですが、その工夫や知識、探究心には眼を見張るものがあります。
ぶどうの枝を軽く挟むことで後々まで残したい味を残す、などなど、私が習ったのはソムリエ教本の範疇までで農業など素人にも関わらず、感心するようなものがたくさんありました。
AOCのルールの範囲内でワインを追求するのも凄いですが、ナチュラルワインを作っている人たちの多くは、品種、農法、発酵熟成方法の探求を怠ることなく大変味わい深く面白いワインを作っていらっしゃいます。

ここはワインの国フランス、ワイン用ぶどうの育成に欠かせない気候条件である、1日の寒暖の差が激しい、というのをもちろんこちらも備えています。
とはいえ寒い時は暖炉に火を入れるレベルになってきました。
これがこちらの秋だそうです。
市場にも栗をはじめとする秋の味覚が並び、ぶどうの葉っぱは赤くなって、お庭にはトンボが飛び始めるようになりました。

そして秋の味覚のきのこ、それもポルチーニ茸が滞在中のワイナリー・シャトープレヴェールの敷地にも生えていました。
ポルチーニはフランスではセップ茸と呼ばれます。
お庭にポルチーニが生える、ってもはやパワーワードです。
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でっかい子もいました。
1UPするかも。
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ポルチーニの特徴は、笠の下のところが、こんな風にスポンジ状になっていることだそうです。
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たくさん見つけました。
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お昼はマッシュルームと混ぜてクリームソースにしました!
ポルチーニって乾燥しか食べたことがなかったけど、香りもいいけど食感は日本のナスのようでした。
外側は皮のようになってカリッとしており、中はよく焼いた茄子のようにトロトロです!
生ポルチーニが庭に生えるなんて、一生の運を使い果たしそうな贅沢だなと思いました!
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今日もAOCソシニャックの貴腐ワイン用ぶどうの収穫の続きをやってきました。
昨日の影響で背中、お尻、内腿がバキバキに痛いけど、収穫作業をしているうちに慣れてきました。
そして何故か痛みがマシになりました。
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本日は圧搾機を見学しました。
圧搾機もいろいろ種類があるようで、こちらで使用されているものは下のビニールの部分が風船のようにせり上がってぶどうを押しつぶし、ステンレス部分から果汁が出てくるというものでした。
しかもこれには果汁の量を測る機能まで付いてて、すごいなぁと感動していました。
もちろんこちらもナチュラルのワイナリー、圧搾時の亜硫酸添加はありませんでした。
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生産者のチエリさんが飲ませてくださったのは、昨日収穫したぶどうの絞り汁!
タンクで一晩寝かせて不純物を沈殿(デブルバージュdébourbage)させた上澄みなので、既に金色の貴腐ワインの色をしています。
チエリさんの甘口ワインは飲み口スッキリなのが特徴だそうで、ぶどうだとは信じられないような甘さ(糖度は18度)でありながら、口の中が粘りつくようなことはありませんでした。
貴腐ワイン独特の蜂蜜というかアプリコットのようなまろやかな香りは発酵後にしかでないようで、まだありませんでした。
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そうやって楽しんでいるうちに本日収穫分のぶどうを絞り始めました。
最初は収穫時に潰れたぶどうから出た汁のため、不純物が多く写真のように濁っていますが、圧搾を続けるとだんだん先ほどの黄金色に近づきます。
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そうしてできたワインがこれ!
これは2004年ヴィンテージで、琥珀色になっており、色がかなりいい感じです。
樽熟成は約1年だそうです。
発酵してもとっても甘くてさらにスッキリしていて、グビグビ飲めちゃうんだろうなあと思います。
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AOCソシニャックと書かれています。
この頃はソーヴィニヨングリとセミヨンだけでなく、ミュスカデの木もあったそうです。
日本だとこんなレアなアペラシオンはほぼ手に入らないので、飲むのがとっても楽しみです!!
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Special thanks to Château le Payral for all this amazing experience!

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