酔う子のユーラシア大陸お散歩ログ

ソムリエで料理研究家の酔う子が自由気ままに世界で飲み歩く様子をお届け

タグ:ナチュラルワイン

最近またいろんな人とアカデミックにワインを深める機会があり、ナチュラルとオーガニックの違いとは、などというお話になったので、備忘録的に書いておきます。

ビオワインとは
EU内での有機栽培認証を受けたワインのこと。
オーガニックワインと同義。
ぶどう栽培時は認証を受ける機関のルールに従った方法で有機栽培を行う。
醸造時の制限は亜硫酸の使用可能量や、砂糖や酵母の原料も有機栽培であることなどあるが、規制はほぼない。

ナチュラルワインとは
ぶどうを作るときは化学薬剤を一切使用しない有機栽培を行い、醸造時にも化学薬品は基本的に使えない。
ビオワインよりも厳しい。
その土地と規格に合うぶどうが栽培・醸造されるとも限らないため、AOCに当てはまらずVin du Franceにカテゴライズされることも多々ある。
しかし最近「ヴァン・ナチュール防衛協会」がAOCの代わりに「Vin method natur」という呼称がフランスで認定される。
そう言った規定に縛られたくないのがナチュラルワインを作る人々なので、広まるかどうかは謎。 



また別でビオディナミという農法もあり、混乱の元になっています。

ビオディナミ(バイオダイナミクス)農法
シュタイナーという人が考案した、月齢やちょっとスピリチュアルなルールに従って行う農法。
肥料なんかも動物の糞などを多用するため、結果的に有機栽培っぽくなる。
シュタイナーはホメオパシーなど、ちょっと科学的には立証されてない、若干スピリチュアルに寄ったような感じのものを多く考案しており、ビオディナミもほぼ宗教という人もいる。
しかしロマネコンティもビオディナミで作られており、日本は古来から太陰暦的なものに沿った農業をしてきたので、私個人としては何かしら良いのだろうと思っている。


フランスでお世話になったワイナリー、Pre Vertとそのご近所にある有名ナチュラルワイナリーのシャトーレスティニャックのコラボでつくったこのワイン、昨年輸入されたものをやっとこさ開けました。

あの時は手摘み収穫したセミヨンと、同じく手摘み収穫のメルローを房ごとタンクに入れて発酵し、その後圧搾という方法をとりました。
WSETで習ったやつだと、半炭酸ガス浸漬法というやつではないかなと思います。
あの時の出来かけのしゅわしゅわした果汁も既に大変芳しく美味しく、どうなるか楽しみなものでした。IMG_4197


あの時まだ濁っていた果汁がこんなに綺麗な色になったところでもう感動です。
軽くスワリングすると匂い立つフレッシュなベリーの香りはあの時のジュースの香りのままで、ヒッピーな人々とガンガン音楽かけながらノリノリで圧搾器にぶどうを入れたり、羊が逃げたり、1歳児が私の作ったご飯を美味しくたべてくれたりした光景が思い浮かぶようでした。
軽いフルーティーな口当たりで、ほんのり甘味も残しつつサクサク飲めちゃうヤバいワインでした!
もう在庫どこにもないかもしれないけど、見つけた方はぜひ。
次行けるのはいつになるか、早くまたお手伝いに伺いたいものです。

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昨年フランスの南西地方のワイナリー、Pre Vertで1ヶ月くらいお世話になり、ワインの収穫から醸造までお手伝いさせていただきました。
その時のワイン(白)がこの度日本に輸入され、東京を主とするワインショップで売られております!
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セミヨン70%にソービニヨンブランを30%のブレンドで、セミヨンの酸味がとってもさわやかでいい感じになっています。
輸入元のKeppagle様のところはもう売り切れだそうで、店頭で見つけたらラッキー、ぜひご購入ください!

私は箱で購入し、寺田倉庫に入れて、これから何年か楽しむ予定です。

滞在中のワイナリーChateau Pre Vertに時々いらっしゃっていたのは、近くのワイナリーChateau Lestignacのマチアスさん。
ナチュラルワインの生産者として世界的に有名な方です。
そんなChateau Lestignacをマチアスさんと奥様のカミーユさんに案内していただき、現在発酵中の果汁を飲ませてもらったり熟成中のワインを頂いてきました。
(通常見学は受け付けていないと思います)

まずはソーヴィニヨンブラン。
主発酵とマロラクティック発酵を同時に行うことで、超爽やかなソーヴィニヨンブランの香りがガツンとくる果汁になっています。
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これはセミヨン。
頂いたセミヨン2種類は、収穫時期や発酵方法の違いによって全くもって別物の味になっていました。
1つは超さっぱりな、レモン果汁のような爽やかなもの。
もう一つは、まろやかさをほのかに残した丸い感じの果汁でした。
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樽からいただいたのは、まずソーヴィニヨングリ。
果汁どころかワインすら飲んだことがない品種です。
百合とか蘭とか、白くて大きい花をイメージさせるような香りがしていました。
次は色々な品種をミックスしたもの。
シュナンとか、その他3つほどのきいたこともないような、昔この辺りで栽培されていた品種などが混ぜ合わされた逸品。
超香り高いシャルドネのようなイメージになっており、大変興味深いものでした。
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こちらは発酵が終わってあと一年寝かせるもの。
Lestignacのコメットというブランドの白ワインになる予定のものです。
樽の白を全て混ぜ合わせたものだとおっしゃっていました。
驚くほど余韻が長く、ずっと鼻の奥に蘭の花がありながらも、いろんな香りが押し寄せてくる感じでした。
どんな言葉を使えばこのワインの凄さが伝えられるのか適当なものが見つからないのがもどかしいです。
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この大樽の中のはメルロー。
大樽は新しいので、これからタンニンがもう少しついていきます。
既に少しシパシパしており、今後も強めのワインになっていきそうです。
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こちらのメルローはただいま発酵中、もう少ししたらテラコッタ製のアンフォラ壺に移すそうです。
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このアンフォラは今年買ったもので、以前のものより焼きがしっかりしているため密閉性が高く、コンクリートタンクに近い、と言われたとのこと。
どのくらい寝かせるかも決めていないそうで、どんなワインになるのかとっても楽しみです!
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この1か月ナチュラルワインについてみっちり習い、ドサージュや亜硫酸などで発酵をコントロールしないワインの凄さを目の当たりにしました。
まず1番違うのは翌日の気分の良さ。
次の日全然残らないので飲まなかった日と全く変わりません。
緑肥や剪定、その他手入れなどぶどうの木にかける手間も通常以上ですが、その工夫や知識、探究心には眼を見張るものがあります。
ぶどうの枝を軽く挟むことで後々まで残したい味を残す、などなど、私が習ったのはソムリエ教本の範疇までで農業など素人にも関わらず、感心するようなものがたくさんありました。
AOCのルールの範囲内でワインを追求するのも凄いですが、ナチュラルワインを作っている人たちの多くは、品種、農法、発酵熟成方法の探求を怠ることなく大変味わい深く面白いワインを作っていらっしゃいます。

ここはワインの国フランス、ワイン用ぶどうの育成に欠かせない気候条件である、1日の寒暖の差が激しい、というのをもちろんこちらも備えています。
とはいえ寒い時は暖炉に火を入れるレベルになってきました。
これがこちらの秋だそうです。
市場にも栗をはじめとする秋の味覚が並び、ぶどうの葉っぱは赤くなって、お庭にはトンボが飛び始めるようになりました。

そして秋の味覚のきのこ、それもポルチーニ茸が滞在中のワイナリー・シャトープレヴェールの敷地にも生えていました。
ポルチーニはフランスではセップ茸と呼ばれます。
お庭にポルチーニが生える、ってもはやパワーワードです。
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でっかい子もいました。
1UPするかも。
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ポルチーニの特徴は、笠の下のところが、こんな風にスポンジ状になっていることだそうです。
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たくさん見つけました。
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お昼はマッシュルームと混ぜてクリームソースにしました!
ポルチーニって乾燥しか食べたことがなかったけど、香りもいいけど食感は日本のナスのようでした。
外側は皮のようになってカリッとしており、中はよく焼いた茄子のようにトロトロです!
生ポルチーニが庭に生えるなんて、一生の運を使い果たしそうな贅沢だなと思いました!
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