インカ帝国の祭事や生贄、政治関連の文献に必ず出てくるお酒が、チチャと呼ばれるトウモロコシのお酒。
私は昔からミイラが大好きで、アンデスの山の中で凍ったまま見つかった生贄の女の子のドキュメンタリーでも、お腹からもコカの葉とチチャが検出されたと言ってました。
その再現VTRでは、コカを噛んでチチャを飲んで朦朧とした彼女の頭を殴ったのではないか、という叙述がありました。

インカ帝国の国民は、現代同様税金を納めていました。
その税金の見返りとなったのが、チチャだそうです。
この酒を楽しみに、国民はせっせと働き、お城だかお役所だかではチチャをわんさか醸していたそうです。
(クスコのマチュピチュ博物館より)

チチャはトウモロコシをなんとか糖化させ、発酵時に加えるイーストとなるのは古来は人間の唾液です。
古来の日本酒の起源である口噛み酒と同様だそうです。
おそらく現在はさすがに人工イーストを使っていると思われます。

そんなチチャを、ペルーに来たら絶対飲んでみたい!と思って探してたけど一向に見つからず、そこからは執念で地元民に聞きまくってやっと辿り着いたのが、クスコのレストランLa Cusqueñita。
割と観光客か富裕層向けのようで、インカの伝統舞踊ショーがあったり一皿1000円近いお料理が並びます。

ドリンクメニューのところにちゃんとChicha de Joraと書かれています!
Joraってなんなのかよくわかりませんが、この国でチチャというと大抵ソフトドリンクのチチャモラーダのことだと思われます。
チチャモラーダは東京は五反田のキョウダイマーケットで昔買ったことがあるので、こっちなら日本でも飲めるはずです。
しかしチチャモラーダはチチャとは全く別物。
だからお酒について知りたい場合は、Chicha de Joraと言う必要があります。
IMG_9458

5ソル(約160円)なら安いしお手頃やなと思って頼んだら来たのがこの巨大ジョッキ。
なんか1リットルくらい入ってる気がします。
生贄少女のドキュメンタリーの再現VTRではもっと小さいグラスだったのに!
上にシナモンがかかってるのはきっとこのお店のオリジナルだと思います。
IMG_9459

お味は、甘酸っぱくて、飲むヨーグルトみたいな感じ。
例えるならヤクルトかカルピスという感じでした。
アルコール度数はかなり低いようで、私にはほぼ無アルコールくらいにしか思えませんでした。
昔はもっと発酵させていたのを、現代風に甘さを残して飲みやすくアレンジしているのか、昔の人がこんなのでも酔えたのかはわかりません。
体質もあると思いますが、個人的にはよっぽど体調が悪いとか、お腹空いて飢えてるとか、高度がすごいとかでない限り、これで朦朧とするほど酔えるとは思いません。
もし甘さを残した状態で冷やすことで発酵を止めているのであれば、発酵の早いお酒なので、プルケ同様国外などに売るのは難しいと思われます。

最後にレストランでやってた伝統舞踊のワンシーンを貼っておきます。
女性がクルクル踊るので、スカートが上がって、どうなるのかとヒヤヒヤしてました。
ペチコートみたいなのはいてました。
IMG_9457

------
【追記20191212】
今日は聖なる谷ツアーに参加してきました。
そこでガイドさんが言ってたのですが、写真のような、長い棒の先に赤いのをつけてるのを掲げてるところにチチャがあるらしいです。
もっと早く知りたかった!!!
FullSizeRender

それを聞いてから気をつけて見てみたところ、ローカルな住宅街ほどたくさんこれがありました。
観光地にはほぼありませんでした。
幹線道路があるローカルな住宅地には、30メートルおきぐらいにあるところもありました。
また、この赤い部分は、お花をつけてるところもあれば、お菓子のパッケージとか張り合わせてるところもありました。
これがクスコ近辺以外で同じかはわかりません。