米のもみから籾殻(Husk)を取り去ったものは「玄米」、精米したものを「白米」「正白米」と呼ぶ。
稲はアジアイネとアフリカイネに分けられ、アジアイネをジャポニカ種とインディカ種に分類する。
ジャポニカ種の中でも澱粉構造の違いにより、うるち米と餅米に 分類する。
これらにはそれぞれ水稲と陸稲があり、日本酒に使用するのは水筒のうるち米である。
 
酒造好適米にに求められる条件
・精米中に砕けにくい
 砕けると外層部の成分が残存したり粒の大きさや形が不均一になり、その後の工程にマイナスとなる
・米粒が大きい
 千粒重が26グラム以上
・心白がある
  吸水性や醪での溶解性がよい。
 心白発現率は遺伝的要因のみならず登熟期の気温日較差が大きいほど高まると言われる。
 心白の形状にもいろいろあり、山田錦や剛力などの線状心白米は高精米に向く。眼状心拍米や球状心白米は精米で壊れやすい。雄町は球状で柔らかい。
・タンパク質が少ない
  タンパク質が多いとアミノ酸度が増して雑味につながりやすく、色や香りが劣化しやすくなる。
 精米によるタンパク質の減少はゆるやか。
・軟質米である
 作業に時間をかけないため。

 栽培が奨励される酒造好適米
各都道府県によって決められる。
米は整粒歩合(形が整った米粒の割合)によって六段階の等級に分類される(一般米より細かい)。
特上90%以上、特等80%、一等70%、 二等60%以上、三等50%以上、規格外45%未満
特定名称種の醸造に使用できるのは三等以上の米に限られる。 

天候の影響
米粒の大きさ、粒張り(精米後にぬかが残りにくくなる)や精米のしやすさへの影響。
天候が良い年→千粒重が増加 
天候不順や猛暑→高温障害、整粒歩合が低下し割れやすくなる
登熟期の気温が高いとアミロペクチンの鎖が長くなり、蒸米(α化)のでんぷんが老化しやすく(β化)消化されにくくなる。つまり得られる清酒の量が少なく、酒質は軽快に、酒粕が多く出る。
冷害ではタンパク質が増加する。
これらは職人の技により理想の味に近づけるため、ワインにおけるヴィンテージの概念はほぼない。
 
精米の形
歴史
足踏み精米→水車精米(江戸)→横型精米機(大正)→竪型精米機(1933年昭和8年)

見掛精米歩合(通常公開される精米歩合)=精米後の白米重量÷精米前の玄米重量×100
真精米歩合(精米の質を精査する目的)=精白後の白米の千粒重÷元の白米の千粒重×100
無効精米歩合(数値が小さいほどよい)=真精米歩合ー見掛精米歩合 

・球形精米(普通精米)
・原形精米 
 X %精米の場合、長さ、幅、厚みをすべてX%になるように削る
・扁平精米
  どの部分も米の表面から等しい厚さに削る。原型精米に比べて時間やコストがかかり、クオリティも微妙なので課題が多い。

 精米後の米
2週間ほど袋に入れて「枯らし」を行い、水分含有率を整える。

 酒造好適米の産地
1.兵庫
2.新潟
3.永野
岡山
秋田
富山
広島
福井
山形
北海道

生産量の多い酒造好適米
 山田錦(兵庫)
五百万石(新潟)
美山錦(長野、秋田など)
雄町(岡山)
宮城では飯米のササニシキを用いて日本酒を作るなど、飯米での酒造りも行われる。


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