オスマン帝国スルタンの娘に、ミフリマーという人がおりました。
ミフリマーとは太陽と月を意味するそうです。
彼女が17歳になったとき、例によってお婿さん選びが行われました。
立候補したのはどこかの偉い政治家と、若い建築家、ミマール・スィナンでした。
この建築家は若くして天才と謳われ、イスタンブールにかかる橋を三日三晩でこしらえるなどの数々の偉業を成しておりました。
それも全て大好きなミフリマーを驚かせるためでした。
(彼は後にスレイマニエモスクなど、イスタンブールを代表する建築物をいくつも遺しています。)
お婿さんには、政治的なことやミフリマーの将来など諸々考慮し、政治家さんの方が選ばれました。
月日が経ち、ミフリマーは当時一番お金と教養のある女性となりました。
彼女は一般市民を教育するため、モスクを作ろうと思い立ち、依頼したのがこのミマールでした。
彼はまだミフリマーを諦めきれず、その恋心がたっぷりこもった1対のモスクをつくりました。
1対、ということで、このモスクはイスタンブールのアジア側・ウスキュダルに1つと、ヨーロッパ側・エルディネカプに1つ作りました。
素敵なのはデザインではなくコンセプト。
ミフリマーの名前、太陽と月、にちなんで、彼女の誕生日3月21日にはエルディネカプのモスクに日が沈み、ウスキュダルのモスクから月が昇る仕組みになっています!
というわけで見てきました。
まずはウスキュダル。
外観は特になんの変哲も無い、トルコのモスクのよくある感じです。
内装は、赤や青を基調とし、なによりステンドグラスがとても綺麗です!
月明かりが素敵に差し込むことと思われます。
こちらはエルディネカプのモスク。
モスクは祈りの場であるだけでなく、教育、集会などの中心地となる場所です。
教養あるミフリマーの名を冠するこれらのモスクには、今も機能する教育機関などが併設されております。
この2人が生きている間に結ばれることはなかったようですが、これ千夜一夜よりも素敵な話なので、ぜひいろんな人に知ってほしい気持ちです!
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