酔う子のユーラシア大陸お散歩ログ

ソムリエで料理研究家の酔う子が自由気ままに世界で飲み歩く様子をお届け

気候と地形
基本は海洋性気候、内陸は高温で乾燥した大陸性気候。

DOC
ヴィーニョヴェルデ
 降水量が多いため、キャノピーの成長のしすぎと病害の増加がある。伝統的なパーゴラよりも垣根仕立てが採用され、機械化が進められる。
 淡い檸檬色、高い酸味、低いアルコール。品種はロウレイロとアリント。

ダン
 丘陵や斜面で栽培され、大陸性よりの気候。日較差が大きく、高品質のワインが生まれる。
 トゥリガナシオナル、ティンタロリス、ジャエン(メンシアのシノニム)、
 アルフロシェイロ(ブラックベリーと苺)
 白ワインの最良のものは樽熟成(エンクルザードと呼ばれる)。

バイラーダ
 沿岸部。収穫期の雨は成熟の遅いバガにとっては問題になりうる。
 バガ(皮が厚く晩熟、タンニンが多い、濃厚な黒系果実の風味)

アレンテージョDO、ヴィーニョ・レジオナル・アレンテージョ
 ヴィーニョレジオナルは最大のIGP。
 アラゴネス、トリンカデイラ(日照りに強くスパイシーな赤系果実と強いタンニン)、アリカンテブーシェ(色が濃くてタンニンが多い)→日照りに強い品種ばかり

ポートワイン
ぶどうの栽培地域(内陸のドウロ)と熟成場所(海沿いのヴィラノヴァデガイア)に分かれている。

気候と地形
温暖な大陸性、西のバイショコルゴは最も冷涼で雨が多く、東に行くほど厚く乾燥する(大陸性、春の霜)。降水量は少ないが、片岩の岩盤によりぶどうの木の根が地下水付近まで達する。
西側二つのバイショコルゴとシマコルゴはドウロ川沿いの険しい斜面に植えられる
・ソカルコス(伝統的な石壁のある段々畑)
・パタマレ(石壁はなく、トラクターが通れる広さがある)
・ヴィニャアオアルト(段をなくし、ウインチなどで機械作業する。侵食されやすい)
 
ぶどう品種
果皮が厚く、担任が多く、黒系果実と花の香り。
トウリガフランカ、ティンタロリス、ティンタバロッカ、トウリガナショナル、ティントカン 

醸造
 アルコールが5〜9%で酒精強化する。発酵は36時間しか続かないため、足踏み(花崗岩の槽ラガールで3−4時間かけて足踏みもしくは自動醸造機・ロボディックラガールの使用)で色素とタンニンを抽出する。最終的に19〜22%のアルコールになる。添加するアルコールはアグアルデンテと呼ばれる。

熟成
下流のヴィラノヴァデガイアはより冷涼で、ゆっくり熟成するのに適している。古いオーク樽使用。
ルビー(プライマリの香りが目立つ、大樽かステンレスタンク熟成。ルビー、LBV、ヴィンテージはこれ)
トーニー(ピペと呼ばれる樽で長期の酸化熟成。

カテゴリ
ルビーとトーニー(低価格で熟成期間もさほど変わらない。トーニー色は熟成以外の方法で作られる)
リザーブ(ルビーとトーニー両方で、ちょっといいもの。トーニーは六年の樽熟成が必要)
LBV(清澄と濾過が行われる。4〜6年寝かせる)
年数表記トーニー(ピペで酸化熟成。10〜40年と10年単位でラベル表記。)
ヴィンテージ(10年に3回くらいしか生産されない最良の畑の最高のワイン。清澄と濾過を行わないので、サーブ時はデキャンティングが必須) 

気候と地形など
北西の大西洋沿岸部は海洋性気候、降水量多い。
地中海沿岸部は地中海性気候、畑は場所によっては海洋または標高の影響を受けて穏やかな気候になり、南に向かうにつれて暑くなる。
内陸は高温の大陸性気候、大陸度高め、標高が高いため夏の夜は涼しくなる。
北西部以外は水不足が課題、低密度で植えた木を株仕立てにし、最大限の水を利用できるようにする(できる限り垣根に仕立て、機械化を支援)。

品種
テンプラリーニョ(皮が厚い。中程度の酸味(暑さが緩和される事が必要)。ホーベン(半炭酸ガス浸漬法で新鮮なイチゴの香り)。
ガルナッチャティンタ(アルコール高、酸が高くタンニンが多い。プリオラートではVVから生産)
モナストレル(ムールヴェードル。果皮が厚い。イエクラ・フミーリャ。アルコール高、酸味は低〜中、熟したブラックベリー)
グラシアーノ、カリニェナ、マスエロ(骨格)
ベルデホ(酸化しやすい、シェリー用、ライトボディー、酸味高い、メロンや桃の風味)
アルバリーニョ(北部(湿気が多い)、果皮が厚いので菌類病に強い。酸味高い、柑橘、有核果実、フルボディ)
アイレン(干魃に強いのでラマンチャ地方で栽培される)
ビウラ(マカベオ)

DOなど
リオハ
 カンタブリア山脈が大西洋気候の最悪の要素(湿気?)からリオハを保護。アラベサとアルタは標高500~800m。
 北岸のアラベサでは上品軽めのワインが多い。アルタは標高が高い。バハは海洋性気候の特徴が薄れ、大陸度が高くなる。

ナバラ
 リオハより冷涼、雨が多くなる。ガルナッチャのロゼ。

カタラユ、カリニェナ(DO)
 エブロ川の南、温暖な大陸性気候、ガルナッチャ、早飲み。
 古木の骨格のしっかりしたものもあり。

カタルーニャ
 この中にカヴァのDOが点在する。
 ペネデス(白ワイン)の沿岸部は地中海性気候の平野、内陸部の渓谷から丘陵地帯に入るとやや冷涼、温和になる。
 プリオラートは丘陵地帯、夏は長く暑く乾燥。ガルナッチャとカリニェナのVV。土壌は雲母の粒と赤い粘土板からなるリコレーリャ(熱を蓄え反射するだけでなく保水力もある)。ブッシュヴァイン、栄養分の少ない土壌、VVの要素から収量は少なく機械化も不可能で、高価になる。

リベラ・デル・ドゥエロ、トロ
 カスティーリャイレオンはIGP
 山脈に囲まれることにより大西洋からの湿気から遮断され、夏は暑く冬は寒い。標高が高く、酸味と新鮮な果実味を保持できる。
 主に赤ワインが生産される。
 ルエダは大陸性気候で白のベルデホが生産される。

リアスバイシャス
 温和な海洋性気候、湿気が多いので菌類病が課題、パーゴラと呼ばれる高い棚仕立てで対策。
 シンプルなアルバリーニョ。
 ビエルソはリベラデルドゥエロの盆地のギリギリ外側にあり海洋性、メンシアの赤ワインは高い酸味と赤系果実の風味で良いものはVVから作られる。樽を効かせる。

レバンテ(バレンシア・フミーリャ)
 モナストレル。バレンシアには酒精強化のモスカテル・デ・バレンシアもあり。

ラマンチャ・バルデペーニャス
 アイレン(ニュートラルで新鮮な白ワイン)輸出用の低価格なワイン。しかしVinos de pagoの大半はここにある。

醸造
早飲みのテンプラリーニョは半炭酸ガス浸漬法で作られ、メスカル同様ホーベンと呼ばれる。

カヴァ
スペイン国内の隣接しないいくつかの地域に及ぶDO。
マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ。ロゼはガルナッチャ、モナストレル。
辛口、中程度の酸味、トーストの風味は少なく、NVで作られる。

シェリー
ヘレスの気候
高温の地中海性気候、沿岸部はポニエンテと呼ばれる湿気のある西風の影響で少し気温が下がる。
東から吹くレバンテは気温が急上昇する。
雨はスペインの他の地域よりは多いもののそれでも少ないが、白亜からなる水捌けは良いが保水力のあるアルバリサ土壌のおかげで対処できる。
秋から冬にかけては土に水を蓄えるため、ぶどうの列の間に穴を掘って水を貯める。これにより夏季には土壌が硬化し、水分が逃げるのを防ぐことができる。

ぶどう品種
パロミノ(酸味が低い、ニュートラル。辛口で、生物学・酸化熟成向き)
ペドロヒメネス(特有の風味はないが、果皮が薄いため天日干しに向いている→甘口)

醸造
ステンレスタンクで醸造、アルコール中程度の辛口

熟成
生物学的熟成→フロール(アルコール15〜15.5%でフロールが育つ。フロールは酸素を栄養にしてアセトアルデヒドを生み出し、これがシェリー特有の風味となる。)
酸化熟成(アルコール17%に酒精強化)
ソレラシステム(生物学的熟成、酸化熟成の両方に使用される。ボデガスは厚い水漆喰の壁、高い天井、吹き抜けるポニエンテによって涼しく多少湿気があるように作られる。各バット(大樽)には6分の5までワインを入れ、隙間を作ることでフロールの生成や酸化熟成を助ける。 

スタイル
フィノ・マンサニーリャ(生物学的熟成のみで作られる。フロールによって酵母の風味がつく。淡いレモン色、柑橘、アーモンド、ハーブの風味)
オロロソ(酸化熟成だけで作られる。フルボディー、トフィー、皮革、香辛料、胡桃などの酸化の風味)
アモンティリャード(生物学的熟成の後に再度酒精強化し、酸化熟成を行う。 酵母のアロマと酸化のアロマが融合)
パロ・コルタド(香りはアモンティリャード、オロロソのボディとコク)
甘口(ペドロヒメネス(ドライフルーツ。コーヒー、甘草)、モスカテル(柑橘の皮の風味))
ペールクリーム(RCGMを使用して甘みを添加、短期間の生物学的熟成)
ミディアム、クリーム(ミディアムは酸化と生物学的熟成どちらの特徴も持つ。低価格から超高級まで幅がある。クリームは酸化のみ。良いものはトフィー、皮革、くるみ、ドライフルーツの風味。) 

北イタリア
気候と地形
温和な気候、夏は乾燥していて短い。ガルダ湖やポー川は内陸部の気候を穏やかにする。
海の近くは降雨量が多く、菌類病が問題となる。
収穫量の多いブドウの木が低密度でパーゴラと呼ばれる複雑な棚付(→アルゼンチン)は、キャノピーは高く仕立てられ水平方向に歯が伸びるキャノピーの下にぶどうが垂れ下がる→日焼けを防ぐ、通気性をよくして不肺病発生リスクを最小にとどめる。
パーゴラが使われるのは、高い酸味と低い糖分のぶどう、パッシート用の損傷や病気の内部動画必要な場合
近年では垣根仕立てで高密度で植えるのが一般的。
イタリア最北のDOCアルトアディジェは温和で乾燥し日較差が大きく、ブドウの生育期に雨は少ない。
フリウリのアルプス山麓部は温和な大陸性で山から吹く風で冷涼化され、アドリア海側は海洋性気候。
ピエモンテは温和な大陸性で夏は雷雨や雹、霧が発生するがポー川とマッジョーレ湖が緩和。

DOCとぶどう品種
アルトアディジェ(北部)、トレンティーノ(南部)
 ピノグリージョ(辛口、ライトからミディアムボディ、高い酸味、柑橘類や緑系果実の風味)

フリウリグラーヴェ
 平地で生産、白ワイン、主にピノグリージョ

コッリオ、コッリオリエンターリ
 丘陵地、より凝縮感のある上質の白ワイン、ピノグリージョが主

ヴェネト
 ポー川があり、肥沃な平地。湿った空気と霧の影響で、病害対策の農薬散布回数が多くなる。
 大量生産、主にピノグリージョ。

ソアーヴェ(全域)、ソアーヴェクラシコ(丘陵地帯)
 クラシコの丘陵地帯の土壌は石灰岩と粘土、さらに高度が高いので低温、ブドウの成熟が遅くなり高い酸味を保ちながら完熟、長期の瓶熟成も可能。
 全域の平地部分は砂質の沖積土、中程度の酸味で果実味が増した早飲み用。
 ガルガーネガ(中程度から高い酸味のミディアムボディ、洋梨、赤リンゴ、有核果実、時折白胡椒。瓶熟成するとアーモンドや蜂蜜の香りを発達させる。オーク使用なし)

ヴァルポリチェッラ(全域)、クラシコ(丘陵地帯)
 ソアーヴェ同様丘陵地帯は粘土と石灰岩が混ざり、高い酸味を持つ。南部の平地は砂利と砂(暖かい)ため、果実味がまして酸味が低くなる。
 コルヴィーナ(色は中程度、低から中程度のタンニン、高い酸味。レッドチェリー。シンプル。オーク使用なし)
 アマローネデッラヴァルポリチェッラはパッシート製法で辛口、フルボディ、アルコール高、タンニンは中〜強、凝縮されたレッドベリーと香辛料、オーク使用あり。
 レチョートデッラヴァルポリチェッラパッシート製法で甘口(発酵は自然に止まる)、赤系果実、高いアルコール、フルボディ、タンニンは中〜高。

バローロ、バルバレスコ
 急勾配の南向き斜面(バローロは300〜500m、バルバレスコは200〜400)。
 タンニンを和らげるため大樽で数年熟成していたが、現在は畑管理と穏やかな抽出法で滑らかなタンニンを実現。
 バルバレスコは標高がわずかに低いことと川の影響で若干温暖、成熟が早く、果実味は増すが香りは弱くなる。
 ネッビオーロ(酸味が高くタンニンが多い、サワーチェリー、ハーブ、時折ドライフラワーの風味、敏熟成によってトリュフ、タール、皮革の風味)

バルベーラダルバ、ドルチェットダルバ
 バルベーラ(晩熟、中〜濃い色、低から中のタンニン、酸味は高く、レッドチェリーやプラム、黒胡椒の風味。オークは使う場合と使わない場合あり)
 ドルチェット(色は濃い紫、中〜高のタンニン、中程度の酸味、ブラックプラム、レッドチェリー乾燥ハーブ)
 どちらも早飲みできるが、良いものは熟成できる。

ガヴィ
 南東部の丘陵、高度と海風の影響。
 コルテーゼ(高い酸味と花、柑橘、青リンゴ、洋梨の風味、ライトボディ、酸味高い、強い香り。樽はほとんどない)

醸造
 パッシート(骨格と風味の凝縮度を強める。酸味が高いうちに摘み、屋内で乾燥させる。発酵は冬場に行う)
 リパッソ(発酵しているアマローネデッラヴァルポリチェッラの皮を発酵直前に抜き取り、可否をみ圧搾のまま発行を終えたヴァルポリチェッラの容器に加える。さらに発酵が進み、ワインの色と風味とタンニンを強める。ヴァルポリチェッラリパッソ、ミディアム〜フルボディ、中〜高のタンニン、煮込んだレッドチェリーやプラム)

中部イタリア
気候と地形
アペニン山脈の高度が高温の気候を緩和する。
キアンティクラシコは通常のキアンティよりも標高が高くて冷涼なため、

DOCとぶどう品種
キアンティとクラシコ
クラシコの方が標高が高いため、酸味が高くハーブの香りが強くなる。
サンジョベーゼ(皮が厚く熟すのに時間がかかるので温暖な気候が必要。レッドチェリープラム、乾燥ハーブ、オークの香辛料の風味。瓶熟成によって肉、猟鳥類の風味。)

モンタルチーノ
ブルネッロ、ヴィーノノビーレ。
キアンティよりも標高が高い場所にあり、温暖な気候が海洋性の風で緩和される。
気候ゆえにより凝縮されてボディも濃厚、二年の樽熟成。

ボルゲリ
平坦だが、海風によって気温が下がる。
ボルドー品種など。

オルヴィエート
内陸のウンブリア州、大陸性気候。
グレケットとトレッビアーノ(ライトボディ、酸味は中〜高、熟したグレープフルーツや桃。酸化を防ぐ醸造(不活性容器で低温発酵)。

フラスカーティ
ラツィオ州。ローマの南の旧領地帯は高度が高く、周辺の湖の影響で気温が下がる。
マルヴァジア、トレッビアーノ(ミディアムボディ、中〜高い酸味、柑橘、オレンジの木や花の香り。オークなし)

ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ
アペニン山脈東側。
酸味が高く、青リンゴとレモンの風味、時にフェンネルやアーモンドの香り。瓶熟成によって蜂蜜やアーモンドの香り。

モンテプルチャーノダブルッツォ
タンニンが多く、酸味は中程度、ブラックプラムやチェリーの風味、シンプルでオークは基本なし。

南イタリア
気候と地形
高温で内陸部は乾燥、沿岸部は湿度が高い。アペニン山脈の斜面に畑を作り、高度が暑さを緩和する。
ぶどうを日焼けから保護するため、低く株仕立てされる。

DOCとぶどう品種
フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ
カンパーニア。
中程度の酸味、ミディアム〜フルボディ、有核果実、メロン、マンゴー、瓶熟成による蜜蝋や蜂蜜の風味。早飲み。

グレコ・ディ・トゥーフォ
カンパーニア。
高い酸味、ライトボディ、青リンゴ、有核果実、パッションフルーツ、瓶熟成による蜂蜜やきのこの風味。ステンレスタンク。 

タウラージ
カンパーニア、アリアニコ。
 色が濃く、酸味が高くてタンニンが多く、黒系果実の風味、樽熟。瓶熟成による土、林床の風味。

アリャーニコ・デル・ヴルトゥレ
山の多いバジリカータ、高い場所では900メートル。

プーリアIGT
ネグロアマーロ、プリミティーボ

サリーチェサレンティーノ
プーリア。 
ネグロアマーロ(タンニンと酸味が中程度、アルコール高、焼いた赤系果実、黒系果実、フルボディ。オークあり)
プリミティーボ(フルボディ、タンニン中〜多、高いアルコール、非常に熟したベリーの強い風味。オークあり) 

テッレ・ディ・シチリアIGT、シチリアDOC(収量少なめ)
 ネロダヴォーラ(ミディアム〜フルボディ、中程度の酸味とタンニン、プラムやブラックチェリー)

エトナDOC
標高の高い畑で収量の少ないVV。
酸味が高く、タンニンが多く、レッドサワーチェリー、クランベリー、ラズベリー 、乾燥ハーブ。瓶熟成によるきのこの風味。

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